卒業する塾生をねぎらう? 思い出作り? その本当の動機が僕のようにドライな人間には判らない。この時期、入試の終わった彼らを教室に呼んでイベントを組むということは、結構一般的なことなの?
いや、別に反対ではないんだ。ただ、塾というところがそういったイベントを本当に必要としているのか、そしてそれが塾という仕事の正当な範疇に入っているのか、ちょっと引っかかりを覚えるのだ。引っかかり、程度だけど。
いちばん張り切り率先して行っていたのは、普段は愛想ないなー、と思われている節も多分にある、年配の教室長だった。それがなにより驚きだった。中3生と僕らの担当していた中学受験の6年生とを教室に集め、近ごろ導入されたヴィジュアルコンテンツを使い生徒対抗のクイズ大会をしたり、ビンゴをしたり。チープな賞品も奮発してどんどん出す。
数日前、公立高校入試のその日、僕と新教室長とくだんのその年配教室長とで買出しにもいった。それぞれ朝早くから応援にいったあとで集合し、100円ショップやディスカウントショップをハシゴして行ったのだ。そのときも、あれはどうだ、こんなのはどうだ、じゃあ買ってしまいましょう、といつにない陣頭指揮振りを発揮されていた。いままで見たことのない一面を目の当たりにして、僕は、へぇーっと見直して(というのは正しくない。普段から僕はその教室長を尊敬してる。ただ、それまではその人の守備範囲? 得意球ではないと思っていた変化球も、鋭い切れ味で投げられるのだ、という発見があったということ)、その日は僕としては珍しくほいほい後に着いて行くだけだった。ここ数年、いいパートナーぶりを僕と発揮してくれている新教室長も、そういった手合いのお祭りごとになるといちばん魅力を発揮するのだが、この日ばかりはその座を譲っていた。
当日。買いだしたチープな賞品、たとえば蛇のオモチャだったり、100円にしては見栄えのいい食器だったり、何故か意味もなくスペイン語の教材だったり、どうでもいようなPCゲームのソフトだったり、パーティグッズのマスクだったり(に混じって、ガムディスペンサーや『人生ゲームDX』やといった大物もあってゲーム性を高めていた)といった賞品以外に、各教員、それぞれ名前を冠した賞品を出そう、という提案があった。○○先生賞、だ。
最初は面白い、と乗り気だったんだけれども実際にいざ考え出すと、自分の名前を冠するってことは“らしさ”が出るよなー、実際そうでなくてもその賞品から得た印象が自分の印象に摩り替わるよな、と思うとなかなか決め難かった。原則、家にあるもので、というのも難しかった。
先の新教室長は遊ぶことには長けた人だから、ラジコンやピッチングマシーンやといった、子供ゴコロもオトナ心もくすぐる魅惑のグッズが結構、部屋にあるらしい。それに負けたくはないが(負けずきらい、ここでも発揮)同じ路線での勝負は避けたい。
最初に考えたのは、今年の頭にこのblogでも書いた、例の福袋からのチョイス。値札価格5万円の、とてもそうは思えない派手なコート、これはどうだっ、と思い、でも生徒に退かれる可能性も、あとで保護者から何らかの電話が掛かってくる可能性もあるな、と思い思いとどまった。
ワードロープには着ていない派手なアロハが数枚あったのでそれか、もしくは結構チープだが見栄えはけっして悪くはないアクセサリー類なんかもあったが、小学生の手元に渡る可能性を考えるとそれもどうかと考えやめた。
結局、家にあったCDをシングル、アルバム織り交ぜて20枚くらい紙袋に詰めて持っていく。芸がないなー、と思いつつ、でもらしくていいだろう、と思う。いや、かなり生徒よりの選曲にはしたつもり。中古のシールが貼られたのも多いが、新譜ではアジカンのアルバムやミスチルのシングルや宇多田も。ルパンのジャズアレンジのアルバムも。
いざゲームが始まると、やはり自分の生徒を応援してしまう。ましてや語句関係の問題となると。そこらの中学生には負けるような連中に育てたつもりはない。
実際、彼らはとんでもない健闘ぶりを見せて、ほぼ圧勝。そのときはしゃぎすぎたツケが回ってきたのか、ビンゴではくだらない賞品ばかりをゲットしていた。
僕の持って行ったCDの紙袋はマニアックな印象が濃く漂う中学生の男子の手元に。こちらの思惑以上に喜んでくれていたのでよかった。
こうして、みんな去っていくのだ。
塾業界に長く身を置いているけれども、実はこうしたイベントに立ち会うのは初めてだ。先に書いたような哲学(!)があって拒んできたわけでもなんでもなくて、たまたまそういった機会に恵まれなかっただけ。行く教室、行く教室、割りとクールでドライなところが多かった。
もちろん、始めるとノルんだけど。
夕方、解散になったあとで、新教室長と、僕がとても頼りにしている社会科の教員でオタのWくんと3人で、さらに中学受験の男子だけを連れて卓球やバスケやをしに行く。大の男3人と生意気で体もフットワークも分別も軽い5人でさんざん走り回って遊んだあと(卓球では手酷くやられたが、バスケでは吹っ飛ばしてやった)帰宅。
あとで聞いた話なのだが、この年の中3年生が、年配の教室長がいちばん長く見てきた生徒なんだとか。なかにはいわゆる開校時一期生だった連中もいるらしい。そのうちの何人かはわれわれの目標と掲げる公立トップの高校に受かっている。そりゃ、可愛いわけだ、と思う。
僕らとまた違う(中学受験は2年という短期決戦が主だ)感慨がきっとひとしお、あったんだろうな。
いや、別に反対ではないんだ。ただ、塾というところがそういったイベントを本当に必要としているのか、そしてそれが塾という仕事の正当な範疇に入っているのか、ちょっと引っかかりを覚えるのだ。引っかかり、程度だけど。
いちばん張り切り率先して行っていたのは、普段は愛想ないなー、と思われている節も多分にある、年配の教室長だった。それがなにより驚きだった。中3生と僕らの担当していた中学受験の6年生とを教室に集め、近ごろ導入されたヴィジュアルコンテンツを使い生徒対抗のクイズ大会をしたり、ビンゴをしたり。チープな賞品も奮発してどんどん出す。
数日前、公立高校入試のその日、僕と新教室長とくだんのその年配教室長とで買出しにもいった。それぞれ朝早くから応援にいったあとで集合し、100円ショップやディスカウントショップをハシゴして行ったのだ。そのときも、あれはどうだ、こんなのはどうだ、じゃあ買ってしまいましょう、といつにない陣頭指揮振りを発揮されていた。いままで見たことのない一面を目の当たりにして、僕は、へぇーっと見直して(というのは正しくない。普段から僕はその教室長を尊敬してる。ただ、それまではその人の守備範囲? 得意球ではないと思っていた変化球も、鋭い切れ味で投げられるのだ、という発見があったということ)、その日は僕としては珍しくほいほい後に着いて行くだけだった。ここ数年、いいパートナーぶりを僕と発揮してくれている新教室長も、そういった手合いのお祭りごとになるといちばん魅力を発揮するのだが、この日ばかりはその座を譲っていた。
当日。買いだしたチープな賞品、たとえば蛇のオモチャだったり、100円にしては見栄えのいい食器だったり、何故か意味もなくスペイン語の教材だったり、どうでもいようなPCゲームのソフトだったり、パーティグッズのマスクだったり(に混じって、ガムディスペンサーや『人生ゲームDX』やといった大物もあってゲーム性を高めていた)といった賞品以外に、各教員、それぞれ名前を冠した賞品を出そう、という提案があった。○○先生賞、だ。
最初は面白い、と乗り気だったんだけれども実際にいざ考え出すと、自分の名前を冠するってことは“らしさ”が出るよなー、実際そうでなくてもその賞品から得た印象が自分の印象に摩り替わるよな、と思うとなかなか決め難かった。原則、家にあるもので、というのも難しかった。
先の新教室長は遊ぶことには長けた人だから、ラジコンやピッチングマシーンやといった、子供ゴコロもオトナ心もくすぐる魅惑のグッズが結構、部屋にあるらしい。それに負けたくはないが(負けずきらい、ここでも発揮)同じ路線での勝負は避けたい。
最初に考えたのは、今年の頭にこのblogでも書いた、例の福袋からのチョイス。値札価格5万円の、とてもそうは思えない派手なコート、これはどうだっ、と思い、でも生徒に退かれる可能性も、あとで保護者から何らかの電話が掛かってくる可能性もあるな、と思い思いとどまった。
ワードロープには着ていない派手なアロハが数枚あったのでそれか、もしくは結構チープだが見栄えはけっして悪くはないアクセサリー類なんかもあったが、小学生の手元に渡る可能性を考えるとそれもどうかと考えやめた。
結局、家にあったCDをシングル、アルバム織り交ぜて20枚くらい紙袋に詰めて持っていく。芸がないなー、と思いつつ、でもらしくていいだろう、と思う。いや、かなり生徒よりの選曲にはしたつもり。中古のシールが貼られたのも多いが、新譜ではアジカンのアルバムやミスチルのシングルや宇多田も。ルパンのジャズアレンジのアルバムも。
いざゲームが始まると、やはり自分の生徒を応援してしまう。ましてや語句関係の問題となると。そこらの中学生には負けるような連中に育てたつもりはない。
実際、彼らはとんでもない健闘ぶりを見せて、ほぼ圧勝。そのときはしゃぎすぎたツケが回ってきたのか、ビンゴではくだらない賞品ばかりをゲットしていた。
僕の持って行ったCDの紙袋はマニアックな印象が濃く漂う中学生の男子の手元に。こちらの思惑以上に喜んでくれていたのでよかった。
こうして、みんな去っていくのだ。
塾業界に長く身を置いているけれども、実はこうしたイベントに立ち会うのは初めてだ。先に書いたような哲学(!)があって拒んできたわけでもなんでもなくて、たまたまそういった機会に恵まれなかっただけ。行く教室、行く教室、割りとクールでドライなところが多かった。
もちろん、始めるとノルんだけど。
夕方、解散になったあとで、新教室長と、僕がとても頼りにしている社会科の教員でオタのWくんと3人で、さらに中学受験の男子だけを連れて卓球やバスケやをしに行く。大の男3人と生意気で体もフットワークも分別も軽い5人でさんざん走り回って遊んだあと(卓球では手酷くやられたが、バスケでは吹っ飛ばしてやった)帰宅。
あとで聞いた話なのだが、この年の中3年生が、年配の教室長がいちばん長く見てきた生徒なんだとか。なかにはいわゆる開校時一期生だった連中もいるらしい。そのうちの何人かはわれわれの目標と掲げる公立トップの高校に受かっている。そりゃ、可愛いわけだ、と思う。
僕らとまた違う(中学受験は2年という短期決戦が主だ)感慨がきっとひとしお、あったんだろうな。
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